建設業|インタビューメディア『プロフェッショナル』

株式会社笹島板金工業

IT業界から建設業界へ。異色の経歴をお持ちの社長に密着取材!

笹島さん、本日は宜しくお願い申し上げます。

笹島板金工業です。宜しくお願い致します。

早速ですが社名の由来を教えてください。

そのまま名前から取りました。
元々は妻の祖父が起こした会社でして、その会社を婿入りして継ぐことになり私で2代目になります。

2代目ですか。歴史ある会社ですね!
現在の会社を継ぐまでの笹島さんの経歴が気になります。

実は結婚して妻の実家の家業を継ぐまで、私は都内のIT企業でSEの仕事をしておりました。

IT業界から建設業界とは珍しい経歴ですね!!
続きが気になります。

元々妻との出会いもそのIT企業で、しばらくは東京で一緒に過ごしていたのですが、妻の父の体調が悪くなってしまい実家の家業を助けたいと言われることがありまして、、、
当時跡継ぎがいなかったので妻がとても心配しており「私が何かの力になれるなら」という想いで会社を辞め、妻の実家の家業を手伝うことになったのが建設業界に入るきっかけですね。
その後は婿入りして笹島の名前をいただき、会社を引き継いだ流れになります。

笹島さんの想いに感動しました。
そしてその想いのまま行動できる決断力がすごいです!
すぐに社長に就任されたのですか?

いえ、業務内容が大きく変わったわけではないですが”一職人”から始めて、正式に社長になったのは2022年の4月からです。
なので、社長になってから本当に間もないです。苦笑

私には計り知れませんが、全くの異業種から社長に就任されるまでの苦労は大変なものだったのではと思います。

初めは”一職人”からスタートしたので大変ではありましたが、その分その苦しさだったり大変さがやりがいにもなっていました。
正直、建設業に携わるようになってまだ5年ほどしか経っていないので、私自身まだまだ勉強中です。苦笑

大変なことをやりがいに感じられる笹島さんをとても尊敬します!
私は同じことをしろと言われても出来ないと思います。苦笑
奥様の為とはいえ、全くの専門外の業界に飛び込む不安はなかったんですか?

不安はたくさんありましたが、始めのうちは”板金屋さんが何をする仕事なのか”すらわかっておりませんでした。笑
逆に何もわからなかったからこそ続けてこれたのかなとも思います!

それでもゼロの世界に飛び込む決断力と勇気がすごいです!!
IT業界にいた笹島さんだからこそ出来ることややっていきたいことなどありますか?

私自身婿入りして180度仕事を仕事を変えたこともあり、建設業界に対する偏見を無くしていきたいと考えております。

なるほど。

元々IT系の学部にいたこともあり、自分の周りの人たちは建設業に対するイメージがあまり良くないみたいで、、、
肉体労働より知的労働の方が良いと考える人が多いのもあるのですが、偏見の方が先走ってしまっている感じはありますね。

確かに今でも建設業に良いイメージを持たない人は多いかもしれませんね。

その偏見をなくすために自分の変わった経歴を活かしたいですし、”誰でも何歳からでもやるんだ”、”悪い世界じゃないんだ”と声を大にして言いたいです!
実際に建物を建てて、それを色んな方に見てもらえる充実感もあるので、本当に誇れる良い業界だと思いますし、そういう想いを広めていきたいなと思っております。

どちらの労働環境もご経験されている笹島さんに言われると説得力があります。
偏見をなくすためや建設業のイメージアップにつながる施策は何かされていますか?

個人的にSNSを今以上に活用していきたいなと思っております。
建設業って人材の確保や営業などどうしてもアナログなところが多い業界だと思うのですね。建設の仕事ってどういう仕事なのか、板金屋さんってどんな仕事をしているのかなど、業界全体でSNSを使って広く一般の方に発信していくべきだと思います。

言われてみれば、確かに建設業でSNSを活用している会社は少ないかもしれませんね。

弊社が取り組むのはもちろんなんですが、業界全体で取り組むべき課題かなと。
SNSを使って広く一般の方に建設業を知ってもらい、昔からの建設業のイメージをもっと変えていきたいですね!

御社の業務内容を教えてください。

一般住宅というより工業施設の工事を主にやっています。
羽田空港や成田空港、オリンピックの工事もやらせていただきました!

えー!それはすごい!
どのような工事をされているのですか?

基本的には建物の屋根、壁を作って、最後に樋を取り付ける工事などをしております。
工場や大きい建物の外側をほとんど全部やっているようなイメージです!

工場の大きさともなると大変な工事になりそうですね。

工場の屋根を作る際板金を一本ずつ葺いていくのですが、今まで扱った中で一番大きかったものは、一本の長さが150mもありました。笑

そんな大きな材料があることに驚きです!笑
お仕事に対するこだわりはどのようなところでしょうか?

雨漏りを起こさないことです!
弊社は新築の工事を請け負うことが多いのですが、台風などの影響でどうしても雨漏りが発生してしまうこともあるんですよ。

なるほど。
意外と一筋縄ではいかないのですね。

そういう芽をいかに潰せるかというのは社員のみんなで議論を重ね日々試行錯誤を重ねております。
例えば、図面に無いところでも「もっとこうした方が良いんじゃないか」と現場の責任者の方とも議論を重ねて、より良いもの作りを目指しております。

流石です!

ありがとうございます。
一つ一つの現場で質にこだわり、遠回りになったとしても完璧な工事をしていると自負しておりますし、与えられた以上の答えを返せるよう努力を惜しむことはありません!

こだわりであり、笹島板金工業さんの強みや特徴でもありますね!

そうかもしれないです。
親会社で年間を通しての”優良店”いう賞があるのですが、その賞を毎年いただいておりまして、それも自信に繋がっていますね!

ということは、お仕事は基本その親会社さんから請け負っているのですか?

そうですね。
今はその親会社さんからのお仕事をメインでやらせていただいております。

他に御社の特徴や強みはありますか?

先ほど150mの材料なども扱っていると言いましたが、長尺ものを得意としているところも強みだと自負しております。
それと自社工場を持っているので、平板から現場に合わせて役物などを加工して取り付けられるのも強みかなと思います!

建設業をやっていてやりがいを感じる時ってどんな時ですか?

元々IT業界に入ってSEになった理由も「物作りをしたいな」と思ったのがきっかけでした。
形に残るものを作ってそれを色んな人に使ってもらったり評価してもらえたりするのが魅力的だなと。ただ、それは建設業界も同じだと思います。

”物作り”とすれば同じかもしれないですね!

特に板金は建物の外側部分を作るので、目に見える形で残るのはすごいやりがいを感じます!
たまに弊社で工事した建物の前などを車で通った時など誇らしいですね!

会社経営で苦労されたことはありますか?

経営とは違うかもしれませんが、IT業界から建設業界と全く違う業界に入ったこともあり始めのうちは業界用語に苦労しました。苦笑

確かに難しそうです。笑

あとは職人さんとの関係構築に一番苦労しました。
職人さん一人一人にこだわりがあって職人さん同士でぶつかり合うこともあるのですが、その中で自分がどの立場で接していけばいいのか悩んだ時期がありました。

難しい立場ですね、、、
やはりマネジメントの部分で苦労されたのが多いですか?

そうですね。
職人さんたちからすれば業界に入ったばかりの私に注意されるのは嫌でしょうし、かといって社長になる立場として締めないといけないところもあるので、色々な葛藤がありました。
先代には「とにかく馬鹿になってやれ」と言われ続けていて、その教えもあってか今では職人の皆さんともいい関係を築けております。

現在社員さんは何名いらっしゃるのですか?

社員は8人になります。
50年続いている会社ということもあり、昔は30人くらい雇っていた時もありましたが、今は建設業界に若い方が入ってこない業界自体の悩みに弊社も悩まされております。

会社をやっていて嬉しかったことはありますか?

社長になると正式に決まった時に「お前にならついて行くよ」と職人の皆さんに言ってもらえた時はすごく嬉しかったですね!

それは嬉しいですね!

私のスタートが一番下からだったこともあり、本当にみんなで協力してやっていくような社風にもなりましたし、職人や社員のみんなは自分より年上の方なのですが、対等に話し合える関係になれたのはとても嬉しいですね!

今後の展望を教えてください。

まずは年内に10人以上の組織にしたいです。
人を増やしていくのも大事ですが、常に上を見て最高の工事をしていけるよう、これからも質を高く丁寧な仕事を心がけていきたいと思います。これは社内の共通意識としても徹底しております。

素敵な展望です。

どちらかというと、工事の質を高めることは展望というより答えのない課題ですね!

まさにプロフェッショナルですね!
最後に若者にメッセージをお願いいたします。

建設業界の良くないイメージで立ち止まらず、一回飛び込んで見てほしいですね。
向き不向きはあると思いますが、それもやってみないとわからないですし、180度違う業界にいた私でも楽しく仕事ができているので、イメージや周りの評価は気にせず興味があれば一度は飛び込んできてほしいですね!
どんな方でもいつからでもやっていけると思います!

笹島さん本日はお忙しいところ貴重なお時間をありがとうございました。

ありがとうございました!

■会社名:株式会社笹島板金工業
■代表取締役: 笹島壮(ささじまたけし)
■所在地:〒311-4151 茨城県水戸市姫子2-193-3
■設立:1975年1月7日
■事業:工場・商業施設・工業施設・駅・空港などの板金工事全般